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■2007/12/21(金) 94 「良いからする」と「悪いからしない」
 「良いからする」と「悪いからしない」というこの2つの考え方は、一見,当たり前のように思えますが、実は、日本社会ではそうでもないことが多いように感じます。なぜなら、日常の会話を聞いたり話をしたりする時に、「私は、その考えは良いと思うけれどもできない」とか「良いと思うけれどみんながしないからしない」、さらに「良いと思うけれどしたくない」など、「良いからする」と素直に言わない人をたくさん見てきたからです。特に、最近このことで思ったのは、先日の国際学習到達度調査PISAの結果で、アジアの中で台湾、韓国、香港、マカオなどの地域が総合的に日本より学力順位が高いことでした。なぜ、このアジアの地域が日本より学力が高いのか?その理由のひとつが、先ほどの「良いからする」という素直な考え方とその実行だということに気づいたのです。というのは、この4地域のうち、香港は2000年に大規模な教育改革を行い、従来の詰め込み教育をやめ、思考能力を高める新カリキュラムを全科目に導入、例えば、生徒にSF小説を執筆させ創造力を高めたということです。又、韓国は大学受験が過熱する国で有名ですが、この大学入試の論文比率をかなり高め、高3までに考える力を養成することに力を入れているようです。さらに台湾は2001年、小中学校のカリキュラムを統合して「9年一貫教育」に改め、授業も暗記中心から「なぜそうなるか」を考えさせる指導に重点を移したとのことです。「台湾の教育には、海外のすぐれた成果をすぐに学校現場に活用する柔軟性がある」との有識者のコメントもあります。おそらく、この海外のすぐれた成果の一例にはフィンランド教育も入っているものと予想されます。これら3地域の教育政策で共通していることは、学校を暗記から思考重視へ転換するということが良いと考え「良いからする」という素直な気持ちで当たり前のことを素早く国全体が実行しているという点にあります。日本の順位がアジアの他地域に負けているのは、もしかしたらこの素直で当たり前の「良いからする」がしっかりできていないからではないかと感じたのです。一般的に素直に良いことをすぐに実行する行動力が大切です。私たち大人は子どもを育てる上で、この「良いからする」、さらに「みんながしなくても良いからする」又、「悪いからしない」、さらに「みんながしても悪いからしない」という当たり前で素直な考え方が人生でいかに重要なことであるかを再確認し伝えていく必要があるのではないでしょうか。

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