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■2012/07/06(金) 452 国会事故調報告と国民を軽視する「野田民主主義」
 昨日、東京電力の福島第一原発事故を検証する国会の「事故調査委員会」(事故調)の最終報告書が衆参両院議長に提出されました。今回の国会の事故調報告は、民間事故調、東京電力事故調、政府事故調の3つの事故調報告に続いて4番目となる最後の調査報告でした。

 本来は、この国会の事故調の報告を待って、必要があれば対処してから50基ある原発の再稼働を考えるはずだったわけですが、先に大飯原発を再稼働してから今回の国会事故調報告書提出に到ったのは意図的であったと簡単に予想できます。今回の国会の事故調報告では、今までの3つの事故調の報告とは明らかに違い、客観性のある内容となっており、東電の「不作為」、「都合の良い判断」、「意図的な先送り」などを厳しく批判しています。

 これは、昨年の3月11日の事故が起きるまでに十分に事故を防ぐ対策が取れたにも関わらず、その対策を取ってこなかった東京電力の思想・考え方を批判しているということです。東京電力が、なぜその対策を取ってこなかったのかは、「津波は起こらないものにしよう」、「津波が起きても全電源喪失には到らないだろう」など、事実とかけ離れた自社に都合の良い考え方をあてはめたからです。

 危機管理の鉄則は、「事故が起きるかもしれない」ということから考えはじめるわけですが、東電は「事故が起きない」という危機管理とは正反対の考え方を取ったからこそ大変な事故になってしまったわけです。

 この意味で、今回、国会事故調は3月12日以降に起きた原発事故は自然災害、天災ではなく「人災」であったと断言しました。東京電力及びこれを規制する当局(経済産業省、原子力安全保安院、原子力安全委員会など)の過失による人災であると断言したことは今後の原発規制の在り方に大きな影響を与えることは間違いありません。

 東電は、あくまでも3.11後の原発事故は津波によるものだという根拠のない主張を変えようとしませんが、国会事故調は地震の可能性も否定できないと結論づけています。ということは、日本に現在ある50基の全ての原発再稼働に対し、津波はもちろんのこと、地震の対策や活断層の有無調査や発表などをするということが最低条件になるわけですが、報道の通り、福井の大飯原発は見切りで再稼働をし、送電を始めました。

 原発再稼働が必要な時には特別に記者会見まで開いて国民に周知させようとするくせに、今回の事故調の内容や大飯原発の地震対策に対して、野田総理を始め、政府のコメントはほとんどありません。自分たちに都合が悪くなればこそこそ隠そうとする今の政権にはうんざりですが、人命に関わる原発、ましてや同じ事故がもう一度起きれば致命的な日本となることを考えれば、地震国日本という原点に戻って再稼働について考え直すことがどれほど大切かわかると思うのですが?

 野田総理はどこまでも自分と利権団体の都合の良い方向へと突き進み、多数のデモ参加者をはじめとした国民を軽視するつもりなのでしょうか?

 思い出すのは、毎金曜日、官邸前で多くの国民が再稼働反対デモをしている状況について、野田総理が「大きな音だね」と言ったという報道があります。これが事実だとすれば驚くべきことです。無論、音ではなく国民の「大きな声」、「切実な声」なわけですから。

 まさに、国民が主権者という「民主主義への軽視」を象徴している総理の乱暴な「ひと言」だと感じます。

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